薄毛(AGA)を治療するなら皮膚科と専門クリニックどっちがいい?メリデメ徹底検証
「薄毛は病院で治せる」ということが広く知られるようになりました。皮膚科病院をはじめ多くの病院で「AGA外来」を行っており、プロペシアなど治療薬の処方を行っています。
しかし近年、皮膚科とは別に「AGA治療を専門に行うクリニック」が台頭し、皮膚科病院で薄毛治療を受けるメリットはほとんどありません。その主な理由は以下のとおりです。
- 皮膚科病院では発毛治療に対応していない(今より増やすことはできない)
- 薬代が高く、また薬代以外に診察費用や処方箋料がかかりトータルの治療費が高い
ここでは、皮膚科病院と専門クリニックの違い、それぞれのメリットデメリットについて詳しく解説します。
目次
主な薄毛の原因はAGA(男性型脱毛症)
男性の主な薄毛の原因はAGA(男性型脱毛症)です。日本の成人男性は3人に1人がAGAであり、その人口は1,200万人以上いると言われています。
AGAが発症すると、頭部にある還元酵素5α-リダクターゼと男性ホルモンの一種テストステロンが結合し、薄毛の原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)が生成されます。
DHTは髪の成長を妨げて脱毛を促す信号を発信します。その結果、髪が十分に成長せず、細く短い状態のままで抜け落ちやすくなり、髪の密度が薄くなり頭皮が透けて見えるようになります。
AGAは一般的に30~50代に良く見られる症状ですが、10~20代で発症するケースもあります。AGAが発症して脱毛を繰り返していくと、やがてその部分から髪は生えてこなくなります。そのため、AGAは1日でも早く治療することが大切です。
AGAは薬での治療が可能
日本では2005年にAGA治療薬のプロペシアが解禁され、AGAの治療が可能になりました。プロペシアは5α-リダクターゼの働きを抑える効果があります。それによってDHTの生成を阻害し、薄毛の進行を遅延することができるのです。
皮膚科で行う治療方法とその効果
AGA治療は皮膚科と専門クリニックで受けることができますが、それぞれ受けられる治療が異なります。ここではまず、皮膚科で行うAGAの治療方法とその効果について説明します。
プロペシア(フィナステリド)などの治療薬で治療をする
皮膚科では、プロペシアなどの薬を処方してAGAの治療を行います。薬には3種類あり、いずれも同じような効果を持っています。
皮膚科で処方される治療薬は以下の3つです。
- プロペシア
- フィナステリド(プロペシアの後発品)
- ザガーロ
プロペシアはフィナステリドを主成分とした錠剤のAGA治療薬です。フィナステリドはⅡ型5α-リダクターゼの働きを抑え、AGAの原因物質DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を阻害する効果があります。
プロペシアの後発品は「サワイ」「ファイザー」などの商品名がありますが、プロペシアと区別するために後発品をまとめて「フィナステリド」と呼んでいます。プロペシアと同じ効果を持っておりプロペシアより2割程度安く購入することができます。
ザガーロはデュタステリドを主成分とし、2016年に販売されたカプセル型の治療薬です。Ⅱ型だけでなくⅠ型の5α-リダクターゼにも作用することから、フィナステリドよりDHTの生成を阻害する効果が高いことで注目されています。
皮膚科のAGA治療はいずれか1つの治療薬を服用して、AGA(薄毛)の進行を防止します。
あくまで薄毛の進行遅延と予防であり、発毛は期待できない
皮膚科で処方される治療薬はあくまで薄毛の進行遅延と予防が目的であり、発毛効果は期待できません。現状維持が目的であればこれらの治療薬で十分ですが、髪を生やしたい人はさらにミノキシジルという発毛薬を使用する必要があります。
ミノキシジルには外用薬と内服薬があり、外用薬は薬局で購入することができます(リアップなど)。しかし、発毛効果の面では内服薬の方が優れており、内服薬はAGA治療専門クリニックでしか処方していません。つまり、もしあなたが「発毛したい」「今よりも増やしたい」と考えているのであれば、皮膚科ではなくAGA治療の専門クリニックで治療を受ける必要があります。
治療を受けられない皮膚科もある
皮膚科病院のすべてがAGA外来を行っているわけではありません。そのため、皮膚科でAGA治療を受けようと思ったら病院のホームページか、電話で直接病院に確認する必要があります。
また、診療時間も日曜祝祭日は休診、土曜日は午前のみといったところがほとんどです。そして、AGA以外の患者さんが多く、混雑により長い時間待たされてしまいます。
AGA治療の専門クリニックは土日祝も診察しており、予約制ですので待たされることもありません。
処方している薬は病院によってバラバラ
処方している薬は病院によってバラバラです。例えばザガーロを処方してほしくて診察を受けたのに、「当院ではプロペシアしか処方していません」と言われてしまい、初診料(約3,000円)だけ無駄に支払うといったこともあります。
AGA治療の専門クリニックであれば多種多様な薬の処方に対応しており、患者一人一人に症状に合わせて最適な薬を処方してくれます。
保険は適用される?治療費はいくらかかる?
AGA治療は保険の適用されない自由診療です。そのため診察料や薬の価格は病院によってバラバラです。ここではAGA治療を受ける際の、保険と治療費について説明します。
保険が適用されない自由診療のため全額自己負担
AGA治療は保険の効かない自由診療になり、治療費は全額自己負担になります。自由診療は病院が治療費を自由に設定できるため、病院によって治療費が異なります。
ちなみに、健康保険は一般的に健康や命に関わるような病気やけがなどの治療に適用されます。AGAは病気と言われていますが、健康や生命に影響を与える症状ではないため健康保険が適用されないことになります。
皮膚科の治療薬の相場
自由診療のため、薬の価格も病院側で自由に設定できます。良心的な価格の病院もあれば、「なんでこんなに高いの?」という病院もあります。
以下は皮膚科病院で処方している薬とその価格の相場です。
プロペシア | フィナステリド | ザガーロ | |
相場(1ヶ月分) | 7,000円~10,000円 | 6,000円~9,000円 | 10,000円~13,000円 |
薬代以外に初診料、再診料、処方箋料がかかる
病院で治療を受ける際、薬代の他に診察料がかかります。また、院外処方をしているところでは処方箋料がかかる場合もあります。診察料や処方箋料は病院によって異なりますが、大体の相場は決まっています。
以下は診察料などの相場です。
初診料 | 再診料 | 処方箋料 | |
相場 | 3,000円 | 1,000円 | 700円 |
AGA治療の専門クリニックでは診察料が無料(薬代に含まれる)場合が多いですが、皮膚科病院で治療を受ける場合は薬代以外に診察料が必要になることもよく覚えておきましょう。
治療費は月10,000円~15,000円
皮膚科でAGA治療を受けるときの費用は「薬代+診察料(+処方箋料)」が一般的になります。これらを合計すると皮膚科でAGA治療を受けた時にかかる費用は、月10,000円~15,000円が相場になります。
一方、AGA治療の専門クリニックでは、1ヶ月15,000円前後で発毛効果のあるミノキシジルの処方も受けることができます。専門クリニックの詳しい治療費は後程紹介します。
発毛をしたいなら専門クリニックがおすすめ
AGA治療を受けるのであれば、皮膚科病院よりも専門クリニックをおすすめします。皮膚科では行っていないミノキシジルの処方や、効果の高い発毛治療も受けることができます。また、治療薬の費用も皮膚科に比べて安いメリットがあります。
ここでは、AGA治療の専門クリニックとはどういうところなのか。また、皮膚科と専門クリニックの違いについても説明していきます。
AGA治療の専門クリニックとは?
AGA治療の専門クリニックとは、文字通りAGA治療を専門に行っているクリニックです。AGAの専門知識を持った医師が在籍しており、患者一人一人に合った治療プランでAGAを治療していきます。
無料カウンセリングも行っており、薄毛が気になったら気軽に相談しに行くこともできます。また、安全性を考慮して血液検査や血圧測定などの検査も行っています。
医師と一緒に経過観察を行い、1ヶ月ごとに薄毛の回復状況を見ながら治療をします。回復状況に合わせてその都度最適な治療プランで治療を行えるため、無駄にコストをかけることもありません。
専門クリニックの治療方法
専門クリニックの治療は主に以下の2つがあります。
- プロペシア(orザガーロ)+ミノキシジルタブレット
- 育毛メソセラピーなどの発毛治療
ミノキシジルタブレットは専門クリニックでのみ入手することができ、高い発毛効果が期待できる内服薬です。
育毛メソセラピーは頭皮に直接有効成分を注入する治療法です。治療薬より高い効果で期待でき、「早く発毛したい」「生え際を発毛させたい」という人に向いている治療です。
その他にも、ミノキシジル外用薬の処方やオリジナルのシャンプー、サプリメントなど治療の効率アップを狙った商品の販売も行っています。
専門クリニックなら発毛治療が受けられる
専門クリニックが皮膚科と大きく違うところは、発毛治療が受けられるということです。専門クリニックは発毛効果のあるミノキシジルタブレットの処方も行っています。そのため、プロペシアなどで薄毛防止をして、ミノキシジルで発毛するという治療方法が可能です。
この治療方法はAGA治療で最も一般的であり、効率よく髪を生やせることで医師も推奨しています。個人差はありますが、治療を開始してからおよそ4~6ヶ月ほどで効果を実感できます。
さらに育毛メソセラピーという頭皮に直接有効成分を注入する治療法もあります。高い発毛効果が期待でき、発毛が難しいと言われる生え際の発毛に非常に効果的です。また、治療薬で1年半かかる状態のところを6ヶ月に短縮することができます。
診察費がかからず薬代も皮膚科よりも安い
専門クリニックでは診察費などがかからず、治療費は基本的に薬代のみです。(初診料と定期的な検査費用が必要な場合あり)
そこで、皮膚科病院と、専門クリニック大手の「AGAスキンクリニック」を例に出し、治療費を比較してみましょう。
治療薬 | 皮膚科 | AGAスキンクリニック |
オリジナル薬(フィナステリド+ミノキシジル) | 非対応 | 14,000円 |
プロペシア | 7,000円~10,000円 | 初回4,200円(2回目以降7,000円) |
フィナステリド | 6,000円~9,000円 | 初回3.400円(2回目以降6,000円) |
ザガーロ | 10,000円~13,000円 | 初回4,800円(2回目以降8,200円) |
初診料 | 3,000円 | 5,000円(※) |
再診料 | 1,000円 | 無料 |
検査費用 | 検査なし | 20,000円(2回分)(※) |
※AGAスキンクリニックの金額は税別です
※AGAスキンクリニックの初診料、検査費用は随時無料キャンペーンを行っており実質無料
いかがでしょうか?同じ薬でも専門クリニックの方が安いことがわかります。さらに、診察料も必要ありません。
専門クリニックでは検査費用が必要ですが、AGA治療薬には副作用があるため検査は絶対に受けるべきです。クリニックによっては健康診断の結果を持参すれば検査が免除されるところもあります。
なによりも、専門クリニックであればミノキシジルの処方を行っているため発毛治療を受けられる点が大きいです。
皮膚科と専門クリニック比較
以上、皮膚科と専門クリニックについて説明してきましたが、最後にもう一度それぞれのメリットデメリットのまとめを見ていきましょう
皮膚科のメリットデメリット
メリット
- 家から近いため通院しやすい
デメリット
- 薄毛の進行遅延、予防の治療しか行っていない
- ミノキシジルの処方をしていないため発毛は期待できない
- 薬代が高く、また診察料や処方箋料がかかるため治療費が高額になる
- 医師はAGAの専門ではないため、薬を処方するだけで検査や経過観察は行わないことがほとんど
- 日曜祝祭日休診、土曜は午前のみ診療のため通院しづらく、混雑しているので待たされる
- 処方している薬が病院によってバラバラで希望の薬がないことがある
専門クリニックのメリットデメリット
メリット
-
ミノキシジル内服薬の処方を行っているので発毛治療を受けられる
-
育毛メソセラピーなど効果の高い発毛治療が受けられる
-
ジェネリックのオリジナル治療薬が充実しており治療費が安い
-
再診料は薬代に含まれている
-
無料カウンセリングがあるので気軽に相談できる
-
通院の度に経過観察をしてくれるため、改善状況を見ながら治療ができる
-
血液検査や血圧測定も行っており、体調の変化をチェックしながら安全に治療を続けられる
-
AGA治療専門の医師が常駐しているため、的確なアドバイスをしてもらえる
-
土日祝日も診療しており通院しやすい
-
予約制なので待たされることがない
デメリット
- クリニックが遠いと通院に時間がかかる(最近は通院不要のクリニックもあり)
皮膚科と専門クリニック比較表
皮膚科病院 | 専門クリニック | |
費用 | 月10,000円~15,000円前後(ミノキシジル処方なし) | 月15,000円前後(ミノキシジル処方あり) |
発毛効果 | ミノキシジルの処方がなく発毛は期待できない | ミノキシジル、育毛メソセラピーなどの治療でほぼ100%発毛できる |
診察料 | 初診料3,000円、再診費用1,000円が相場。処方箋料がかかる場合もある。薬代は別途必要。 | 初診料のみ。2回目以降は薬代に含まれるので無料(クリニックによっては初診料無料キャンペーンを行っているところも多い) |
診察、経過観察 | 受付で薬をもらうだけで診察や経過観察はほとんどない | 通院の度に問診あり。また、頭髪の写真撮影を行い発毛の経過を確認できる |
検査 | 検査自体行っていない | 血液検査など薬の副作用による体調の変化をチェックしてくれる |
通院のしやすさ | 近くにあることが多く通いやすい | クリニックが遠くにあると通院に時間がかかるが、最近は通院不要のクリニックもある |
AGA以外の脱毛症の疑いがあるときは皮膚科に相談する
男性の薄毛の原因はほとんどがAGA(男性型脱毛症)ですが、それ以外に皮膚炎や免疫力の低下が原因の脱毛症も存在します。
AGAは数年かけて徐々に薄毛が進行していきます。しかし、短期間で異常に抜け毛が増えた場合はAGA以外の脱毛症の可能性があります。
この場合は専門クリニックでは治療ができないため皮膚科で相談しましょう。もしAGA以外の脱毛症の可能性を感じたら以下の記事を参考にしてください。
まとめ
皮膚科と専門クリニックのメリット・デメリットを紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
皮膚科でAGA治療を受けるメリットは、家の近くにあることが多く通いやすいという1点だけです。また、ミノキシジルの処方を行っていないため、AGAの進行遅延や予防を目的とした治療となり、発毛効果は期待できません。
一方、専門クリニックはミノキシジルの処方により発毛治療が受けられるため、薄毛防止だけでなく髪を生やすことも可能です。また、設備やサービスも充実しており質の高い治療が受けられます。
治療費についても、皮膚科と専門クリニックで同じ治療を受ける場合は、診察料がかからない専門クリニックの方が安く治療を受けられます。発毛効果のミノキシジルタブレットを加えても、治療費は14,000円(AGAスキンクリニック)と大きな差はありません。
薄毛防止だけが目的であれば皮膚科で十分ですが、髪を生やしたいという方は専門クリニックで治療を受けましょう。
石水 朋哉
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