新しいAGA治療薬「ザガーロ」はプロペシアとなにが違う?
2016年6月に発売されたAGA治療薬のザガーロですが、プロペシアとどっちがいいの?と思っている方も多いと思います。
ザガーロとプロペシアの作用は似ており、どちらも5α-リダクターゼに作用し、AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の発生を抑制する薬です。そのため併用して服用する薬ではありません。
ここでは、ザガーロの効果や副作用、服用時の注意点など、ザガーロを検討している人が知っておくべきことをまとめています。
目次
ザガーロとは?
ザガーロとは、2015年9月28日に承認され、グラクソ・スミスクライン社(GSK)から2016年6月13日に発売されたAGA治療薬です。主成分はデュタステリドであり、服用の目的はプロペシアと同じ「AGAの進行遅延」です。
効果
5α-リダクターゼを阻害し、DHTの発生を抑制する効果があります。プロペシアがⅡ型の5α-リダクターゼにしか作用しないのに対し、ザガーロはⅠ型の5α-リダクターゼにも作用します。また、効果はプロペシアの約3倍と言われています。
ザガーロの効果についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
副作用
ザガーロは臨床試験によって17.1%の人に副作用の発症が報告されています。主な副作用として以下の3つが挙げられます。
- 勃起不全(ED)…24例(4.3%)
- リビドー(性欲)減退…22例(3.9%)
- 精液量減少…7例(1.3%)
この数値が高いか低いかですが、以下はプロペシアとの比較をまとめた表です。
ED(勃起不全) | リビドー減退 | 精液量減少 | |
ザガーロ | 4.3% | 3.9% | 1.3% |
プロペシア | 0.7% | 1.1% | 不明 |
試験方法が異なるため厳密な比較とは言えませんが、その点を踏まえてもザガーロの方が副作用が発症する可能性が高いことがわかります。
ザガーロの副作用についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
プロペシア(フィナステリド)との違い
前述したとおり、ザガーロを服用する目的はプロペシアと同じ「AGAの進行遅延です」。しかし、明確に違う点があります。それは、AGAの原因である5α-リダクターゼの抑制効果の部分です。
プロペシアはⅡ型の5α-リダクターゼしか抑制できませんが、ザガーロはⅠ型にも作用します。しかも、Ⅱ型の5α-リダクターゼに対して、ザガーロの効果はプロペシアの3倍と評されているのです。臨床試験においては、0.5mgのザガーロが1.0mgのフィナステリドと比べて、1.6倍の効果を発揮しました。
ザガーロを服用する際の注意点
ここでは、ザガーロを服用する際の注意点を説明します。
女性の服用について
まず気を付けなければならないのが、ザガーロが男性専用の薬であることです。女性がザガーロを服用した場合、血中のジヒドロテストステロンが低下することで、男子胎児の外生殖器が未熟な状態になってしまう恐れがあります。
妊婦でなかったとしても将来的に出産する可能性がある以上、女性はザガーロを服用するのは厳禁です。
妊婦、授乳中の女性がいる場合の取り扱いについて
周囲に妊婦や授乳中の女性が存在する場合、ザガーロは管理方法も徹底しなければなりません。なぜなら、ザガーロの有効成分であるデュタステリドは、皮膚から吸収する性質を持っています。妊婦や授乳中の女性は触れるだけで男児の生殖器に影響を及ぼす危険性があります。
ザガーロは女性や小さい子供の手の届かないところにしっかりと保管しましょう。万が一女性が触れてしまった場合には、石鹸と水で丁寧に洗ってください。
服用中の献血は禁止
プロペシア同様、ザガーロも服用中は献血が厳禁です。献血で確保した血液は、男女問わず供給されます。デュタステリドが含まれている血液が女性に入れば、前述したトラブルに至る恐れがあるのです。
一定期間休薬をすれば献血は可能になりますが、その期間もプロペシアの1ヶ月間に対してザガーロは6ヶ月と長くなっていますので注意しましょう。
ザガーロの価格
AGA治療は保険適用外の自由診療です。そのためザガーロの価格もクリニックや病院によって異なります。価格の相場は1ヵ月分(30カプセル)で10,000円前後です。プロペシアと比べて約3,000円、プロペシアのジェネリックであるフィナステリドと比べて約4,000円程度高くなります。
ザガーロの後発品(ジェネリック)はある?
医薬品の特許は比較的短いため、同じ成分を持った別名の治療薬が安価で供給されています。それが後発品(ジェネリック)と呼ばれています。後発品のメリットは、有効成分が同じであるため同じ効果が期待できながら、価格が安い点です。
日本での承認薬はまだ発売されていない
結論から言えば、ザガーロの後発品はまだ発売されていません。ザガーロは新しい治療薬であるため、特許が切れるまでに時間が必要なのです。
ザガーロの有効成分であるデュタステリドは、2004年7月にアメリカで出願されました。医薬品の特許期間は出願日から20年なので、2024年に解禁される予定です。ただし、特許期間は最大で5年延長できるため、2029年まで延長する可能性は十分にあります。
ちなみにプロペシアのジェネリックは「フィナステリド」として複数の製薬会社から販売されています。
ザガーロの入手方法
ザガーロは効果が高い反面副作用もあるため、医療用医薬品(処方箋医薬品)という扱いになっており、医師の処方が必要となります。
ドラッグストアでは購入できない
一般用医薬品でありませんので、ドラッグストアでは購入できません。ザガーロは処方箋医薬品という種類に該当しています。処方箋医薬品は医者から処方して貰うしか入手の手段がないのです。これは国民の安全を確保するため、国が法律で決めています。
Amazonなどネット通販でも購入できない
最近では医薬品を取り扱うネット通販も増えています。Amazonでは風邪薬や湿布薬などの他、ロキソニンや発毛薬のリアップといった第一類医薬品の販売も行っており、利用したことがある人もいるかもしれません。しかし、処方箋医薬品のルールはネット通販においても適用されます。そのため、ネット通販でザガーロの購入はできません。
個人輸入は利用しない
有効成分デュタステリドを配合し、ザガーロと同じ効果を持つ薬は海外にも存在します。そして、海外の一部の医薬品については、輸入者自身が自己の個人的な使用に供することを前提とし、輸入することが認められています。
その制度を利用して商売をしているのが「個人輸入代行業者」です。海外の医薬品は日本よりも安価であることが多く、デュタステリド配合の薬も病院で処方してもらうよりも安く入手することができます。
しかし、日本国内の製薬会社4社が合同で行った調査によると、個人輸入代行業者のWebサイトから購入した医薬品を鑑定調査したところ、約4割が偽造品であったという驚愕の結果が発表されました。偽造品は効果がないことは当然ですが、死亡したケースもあり大変危険です。どのような薬かわからないため、医師も処置のしようがありません。
個人輸入の危険性について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
まとめ
以上、新しいAGA治療薬のザガーロについて、主にプロペシアとの違いという点で解説しました。
AGA治療薬としてはプロペシアよりも効果が期待できる反面、副作用のリスクも高くなります。効果だけでなく副作用の面も考慮したうえで、医師に相談してどちらを服用するかを検討しましょう。
これからAGA治療を始めるのであれば、まずはプロペシアから始めることをおすすめします。
金井 伸一
毛髪診断士。「ハゲ活」編集長。25歳で頭頂部から薄くなりあっという間に若ハゲになる。20代30代のほぼ全てをAGA治療に費やす。通院したクリニックの数は10以上。AGA治療に関するお役立ち情報をお届けします。
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