AGAの治療期間はどのくらい?効果の実感までと発毛後のこと
薄毛の悩みを抱えている人は「一刻も早く薄毛の悩みから解放されたい」と思い、AGA治療を受けに行きます。「治療」という言葉からすぐに髪が生えてくるものだと期待している人も多くいます。
しかし、AGA治療を受けたからと言ってすぐに髪が生えてくるわけではありません。効果を実感するまでには少なくとも3~6ヶ月の期間が必要であり、1年間以上の治療が推奨されます。
また、治療法によっても効果を実感するまでの期間は大きく異なり、半年で十分な毛量まで回復する治療もあれば、何年続けても満足できる毛量まで回復しない治療もあります。
ここではAGA治療の「期間」にテーマを絞り、
- 効果が出るまでの期間はどのくらい?
- 治療の効果はどのくらい続く?
といった疑問にお答えするとともに、「短期間で発毛する4つの方法」も紹介します。
AGA治療は時間がかかるため、中々効果を感じられないと途中で治療を諦めたくなるかもしれません。しかし、治療を続けているほとんどの人は効果を実感できて髪を増やすことができています。かつてのフサフサヘアを取り戻すためにも、焦らずじっくり治療を続けていきましょう。
AGA治療は時間がかかる
改めて言いますが、AGA治療は時間がかかるということです。治療を受ければすぐに髪が生えてくると思っている人もいますが、効果を実感するまで早くても3ヶ月はかかります。
そこで、治療期間の説明をする前にAGA治療とはどんな治療なのか、なぜAGA治療に時間がかかるのかわかりやすく説明していきます。
AGAとは?
AGAとはAndrogenetic Alopeciaの略で、男性型脱毛症という意味です。AGAは成人男性にみられる脱毛症で、前頭部や頭頂部の髪が一定のパターンで薄くなっていく特徴があります。日本の薄毛男性は約1,200万人と言われていますが、その原因のほとんどがAGAです。
AGAは進行性で、治療せずにそのままにしておくと徐々に髪は細く短くなっていき、やがて毛根が閉じて髪が生えなくなります。そのため、発症したら1日も早い治療が必要です。
AGAで薄毛になる原因は、AGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の増加によりヘアサイクルが乱れることにあります。ヘアサイクルとDHTが発生する仕組みについて以下で説明します。
AGAによるヘアサイクルの乱れが薄毛の原因
人の髪の毛の本数は生まれた時から決まっていて、1本の髪の毛は「成長期→退行期→休止期」を繰り返します。これをヘアサイクル(毛周期)といいます。
AGAではない人の正常なヘアサイクルの周期は2年~6年で1周し、一生のうちに40~50回程度のヘアサイクルを繰り返します。
しかし、AGAが発症すると本来2~6年間ある成長期間が数ヶ月~1年となり、髪の毛が十分に成長しない内に退行期、休止期と進んで抜けてしまいます。
結果的に、生えている髪は細く短いうぶ毛が多くなって髪全体のボリュームがなくなり、抜ける本数も増えて地肌が透けて見える状態になります。
AGAの原因物質はDHT
なにが原因でヘアサイクルに狂いが生じているのかと言うと、原因は男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)です。
男性ホルモンとは、ヒゲや体毛の成長、男らしい体格や性格を形成する要素です。男性ホルモンは95%をテストステロンが占めています。そのテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びついて生成されるのがDHTです。
DHT(ジヒドロテストステロン)は毛母細胞内の男性ホルモン受容体(レセプター)と結合して、毛母細胞の細胞分裂を抑制(成長をストップ)します。その結果、髪の毛の成長期間が短くなり、ヘアサイクルに狂いが生じるのです。
ちなみにAGAの人でも後頭部は髪がフサフサな理由ですが、これは後頭部の毛乳頭細胞には男性ホルモン受容体(レセプター)がなく、そのためDHTが髪の成長をストップさせることがないためです。
AGA治療はどんな治療?
AGAを治療する方法は一般的に、フィナステリド(プロペシア)、そしてミノキシジルを飲むことです。
上記の異なる効果を持つ2つの薬を併用すると効率よく治療を行うことができます。どちらか一方でも治療を行うことができますが、効率が悪く効果を実感するのに半年は必要です。しかし、併用することによって3~6ヶ月で効果を実感することができます。
現状維持の薬には2016年に発売したばかりのザガーロという薬もあります。フィナステリドよりDHTの生成を阻害する効果が高いことから、最近ではザガーロを推奨する医師もいます。
AGA治療に時間がかかる理由
なぜAGA治療に時間がかかるのかと言うと、ヘアサイクルの乱れを改善するのに時間がかかり、AGAの影響を受けない髪が生えてくるのを待たなければいけないからです。
治療前にAGAの影響を受けた髪は、十分に成長せず休止期を迎えます。休止期は3~4ヶ月あり、AGAの影響を受けない新しい髪が生えてくるまでには休止期→成長期の移行の期間がかかります。
AGAの影響を受けない髪は治療前に比べてより長く太く育ちますが、髪は1ヶ月1cm程度しか成長しないため効果を実感するまで数ヶ月かかります。そのため、「毛量が増えた」と実感するまでには時間がかかるのです。
治療の効果を実感するのはいつ?
治療を始めてどのくらいで効果を実感するのかですが、受けた治療の内容により異なります。また、年齢やAGAの進行度合いによって個人差があります。年齢が若いほど治療の効果は高く、年齢が大きくなるほど効果は低くなります。
また、AGAが進行している人ほど効果を実感するまでは時間がかかります。ここでは、治療の効果を実感する時期について説明します。
専門クリニックの治療で3~6ヶ月
専門クリニックの治療は、AGA治療薬である「プロペシア(orザガーロ)+ミノキシジルタブレット」の処方が一般的で、3~6ヶ月で効果を実感することができます。
治療薬を併用する理由は「AGAの進行遅延」と「発毛」を同時に行うことによって効率よく治療ができ、効果を早く実感できるからです。
日本皮膚科学会が定める「男性型脱毛症ガイドライン」では、AGA治療においてフィナステリド(プロペシアの主成分)とミノキシジルは推奨度Aと評価されています。推奨度Aの評価をされているのはこの2つの薬のみです。
出典:日本皮膚科学会
ちなみに、発毛薬のミノキシジルタブレットは専門クリニックでのみ処方を行っています。
AGA外来の治療は発毛に期待できない
AGA外来を行っている皮膚科病院の治療では発毛は期待できません。なぜならAGA外来では発毛薬(ミノキシジル)の処方は行っていないからです。
AGA外来の治療は単剤処方と呼ばれるもので、プロペシアやザガーロのみの治療になります。これらの治療薬はAGAの進行遅延のみで、現状維持しかできません。
そのため、短期間でしっかり発毛させたいのならミノキシジルタブレットを処方している専門クリニックで治療を受けることをおススメします。
最低でも1年は治療を継続する
人によっては効果を実感するまで時間がかかることがありますので、最低でも1年は治療を継続して様子を見ましょう。冒頭でも説明しましたが、AGA治療は時間がかかるものです。
一般的には半年ほどで9割の人が効果を実感できると言われていますが、体質やAGAの進行具合によって効果が出るまでにそれ以上の時間がかかってしまうこともあります。
半年で何もなければ治療を諦めたくなるところですが、効果を信じて続けることが大切です。
初期脱毛が起きることがある
治療を開始してから2週間~1ヶ月で初期脱毛が起きることがあります。初期脱毛は古く成長が止まった髪が、発毛効果で新たに生えてきた髪によって押し出されて抜け落ちてしまうものです。個人差はありますが1日に300~400本抜けてしまうこともあり、発症からおよそ1ヶ月程度続きます。
始めは抜け毛の量に驚かれると思いますが、薬がしっかり効いている証拠でもあるため焦らず治療を続けていきましょう。
治療はどのくらいの期間続く?
AGA治療では毎月の薬代が費用としてかかります。治療が長期間になればその分費用は多くかかりますので、「治療はどのくらい続ける必要があるのか」は気になるところです。
ここでは治療薬の効果がどのくらいの期間続くのか説明します。
効果を持続するためには薬を飲み続けなければならない
薬によって毛量が回復しても、効果を持続するためには薬を飲み続ける必要があります。
AGA治療の薬はAGAの症状を根本的に治すものではありません。あくまでも服用している期間だけ「一時的に」症状を抑える薬です。そのため、薬の服用をやめると効果は失われ、改善したヘアサイクルも治療以前の状態に戻ります。もちろん発毛効果も失われます。
AGA治療は髪が生えたらゴールではなく、今度はその髪(毛量)を維持するために薬を飲み続けて効果を持続させなければなりません。
髪が生えれば安い費用で維持できる
自分の満足いく毛量になったら発毛薬(ミノキシジル)は不要となり、プロペシアやザガーロのみで増えた毛量を維持することができます。服用する薬が減る分、月々の治療費も安くなります。
短期間で発毛する4つの方法
効果を実感するのに3~6ヶ月かかると説明しましたが、薄毛で悩んでいる方は「もっと早く髪を生やしたい」と思うのが本音でしょう。
そこで、早く髪を生やしたい人のために短期間で発毛する4つの方法を紹介します。
外用薬を併用する
内服薬だけでは効果に満足できないという人は、リアップのような頭皮に塗るタイプのミノキシジル外用薬も併用しましょう。体の内と外から発毛効果のあるものを取り込み、効果を増幅させるという方法です。外用薬を併用するとより発毛効果をアップすることができ、短期間で発毛することが可能です。
例えば、ミノキシジルタブレット+外用薬+プロペシア(またはザガーロ)といった使い方です。
ちなみに筆者はリアップではなく、クリニックで処方してくれる外用薬を使いました。リアップのミノキシジル濃度は最も高い「リアッププラスX5」でも5%ですが、クリニックで処方してくれる外用薬は濃度が高いものが多く、リアップよりも高い効果が期待できます。
ミノキシジルの濃度をあげる
ミノキシジルは濃度を高くするほど効果も高くなります。そのため、早く発毛効果を実感したい人は医師に相談して濃度の高いものを処方してもらうようにしましょう。
ただし、濃度をあげると副作用のリスクも高くなります。治療を開始するときは患者の安全を考慮して濃度の低いミノキシジルから処方されます。もし体に何も異変が無ければ濃度を上げることは可能ですが、医師が安全でないと判断したら素直に諦めましょう。
だからと言って、効果を早めるために薬を1度に大量に飲むといったことはNGです。ミノキシジルは飲む量を誤ると副作用が出やすい薬です。そのため、医師が指定する用法用量を守って服用するようにしましょう。
ミノキシジルを朝と夜に1錠ずつ飲む
治療薬は1日1錠が原則ですが、ミノキシジルタブレットは1日の上限10mgを超えなければ、5mgを1日2回に分けて服用することも可能です。分けて服用することで成分の血中濃度を一定に保ち、効果を持続させることができます。
ただし、5mgを1日2錠服用するためコストが2倍かかるデメリットがあります。(5mg2ヶ月分を1ヶ月で服用することになる)
10mgの錠剤をピルカッターで半分に割って飲むこともできますが、正しい用法ではないため可能かどうか医師に相談しましょう。
育毛メソセラピー治療を受ける
育毛メソセラピーは専門クリニックで受けることができ、短期間で発毛するのに最も優れた治療法です。ミノキシジルや成長因子といった有効成分を薄毛が気になる部分に直接注入して発毛を促します。治療薬と併用することで高い効果が期待できます。
例えば薄毛がかなり進行していて薬では1年半かかるところを6ヶ月でフサフサにする効果があります。
下の図は、育毛メソセラピーと薬の効果を時系列で表したものです。内服薬のみの治療では約5年かかる状態まで、育毛メソセラピーを受けることでわずか1年で到達できます。
先程も説明しましたが、毛量が増えて髪がしっかり育った状態になれば、あとはプロペシア(フィナステリド)のみの服用で費用を抑えてその状態を維持することができます。
育毛メソセラピーは1回の治療費は高いですが、1ヶ月1万円以上するミノキシジルの内服薬処方を長期間続けるよりも、結果的に費用を節約することができます。
まとめ
AGA治療は乱れたヘアサイクルを治す治療のため、効果を実感するのに時間がかかります。専門クリニックの治療でも3~6ヶ月必要で、人によっては1年以上かかることもあります。
また、治療を続けていく上で初期脱毛の存在も忘れてはなりません。一時的に抜け毛が増える副作用ですが、薬が効いている証拠でもあります。新しく生えてきた髪が生えてくるまでぐっと我慢しましょう。
そして髪が生えてきてもAGA治療は終わりではありません。今度は毛髪を維持するために治療を受け続ける必要があります。ただし、一定量の髪が生えればプロペシアやザガーロの単剤で毛量を維持することできます。発毛薬(ミノキシジル)が不要になるため、コストを削減して治療を行うことができます。
短期間で発毛したい、フサフサになりたいという人は、費用はかかりますが「育毛メソセラピー」がおすすめです。
なかなか効果を実感できなくて途中で治療を諦めてしまう人もいます。しかし、治療を続けていればいずれ効果を実感することができます。
時間はかかりますが、フサフサへアを取り戻すためにも治療を頑張りましょう。
石水 朋哉
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